【遺言の知識】遺留分はトラブルの原因になりやすい?
ご自宅のタンスの中から遺言が出てきました。
【遺言の内容】
すべての財産を介護スタッフの〇〇に相続させる。
もちろん、法定相続人がいない人で、何年も面倒をみてくれていた介護スタッフ〇〇に全財産を残すこともあるでしょう。
ご自宅に住んでいるご家族が、介護スタッフと一緒に面倒をみていた場合は、どうでしょう?
ご自宅に住み続けることができるか心配ですね。
ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人には、遺留分という最低限の権利が決められています。
この遺留分は、大切なので、きちんと理解しておきましょう。
【遺言の知識】遺留分の権利は?割合は?
民法の条文によると、
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
1.直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
2.前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1
民法1028条
遺留分の権利があるのは、兄弟姉妹以外の法定相続人(=配偶者・子ども・親など)で、
配偶者・子ども(孫) = 法定相続分の1/2
親(祖父母) = 法定相続分の1/3
【遺言の知識】遺留分は、他の相続人に請求することができます
自分の相続分が遺留分よりも少ないときは、他の相続人に請求することができます。
【具体例】
配偶者なし(離婚など)・子どものみ:2人(長男・二男)
遺言:「すべての財産を二男に相続させる」
この場合は、
長男は、「すべての財産の1/2の1/2 = 1/4」を遺留分として、二男に請求することができます。
このことを「遺留分減殺(げんさい)請求」といいます。
きちんと証拠を残すために、配達証明付きの内容証明郵便で送ることが多いです。
【遺言の知識】遺留分の7つのパターンは?
【パターンごとの遺留分】
配偶者のみ:1/2
子どものみ:1/2 (複数のとき:さらに等分)
親のみ:1/3 (複数のとき:さらに等分)
兄弟姉妹のみ:遺留分なし
配偶者・子ども:配偶者=1/4 子ども=1/4 (複数のとき:さらに等分)
配偶者・親:配偶者=1/3 親=1/6 (複数のとき:さらに等分)
配偶者・兄弟姉妹:配偶者=1/2 兄弟姉妹なし
【配偶者・子ども】※子ども・親が複数のときは、等分となります
子どもが2人なら、1/4の1/2=1/8ずつ
子どもが3人なら、1/4の1/3=1/12ずつ
【遺言書の作成方法】家族の想いに寄り添った遺言を残しましょう
遺留分は、法定相続人の生活を困らせないための大切な権利です。
自分の残した遺言で、家族がもめてしまう。
遺言はないものとして、遺産分割をした。
すべての家族の気持ちに答えることはできないと思います。
なるべく円満な相続になるように遺留分を理解したうえで、ご家族に想いを伝えていきましょう。
遺言や相続のお手続きでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。